世界保健機関(WHO)は、健康都市プロジェクトの取り組みを1988年に欧州地域で開始した。以来、都市に生活する人々の身体的、精神的、社会的健康水準を高めるためには、健康を支える都市の諸条件を整える必要があるという認識のもと、保健医療部門をはじめ環境、住宅、建設、都市計画、産業、教育など様々な部門と協働したまちづくりを展開している。
欧州地域を中心に始まった健康都市活動は世界各地に広がり、世界規模の都市間ネットワークに成長した。日本を含む西太平洋地域でも取り組みが始まり、1990年代からの東京都をはじめとする自治体の取り組みや都市間ネットワークが展開されていった。2003年には健康都市連合が、2005年には健康都市連合日本支部が設立され、WHOとの連携で健康都市を推進している。
2023年11月、WHO欧州地域事務局(EURO)はWHO西太平洋地域事務局(WPRO)と共同し、今後世界で展開が期待される「グリーンとブルーの健康都市」のテーマで日本での国際交流プログラムと視察を主催した。目的は欧州地域と西太平洋地域の間で健康都市を推進するための知識、経験、およびベストプラクティス(優れた実践例)を共有すること、両地域のパートナーシップを強化し健康都市の発展をさらに推進することだ。
本特集ではWHO欧州地域事務局からの寄稿文をはじめ、11月6日~8日の三日間にわたり開催された国際交流プログラムと視察の内容、さらに研究者による欧州現地レポートを掲載する。(文責:本誌編集部)