健康都市活動支援機構はJICA(国際協力機構)の「草の根技術協力事業」のもと、ウランバートル市チンゲルテイ地区のモデル校2校を対象に本プロジェクトを実施している。両校では「正しい歯の磨き方」を励行し習慣化させるための活動を学校及び家庭で推進しており、学校では区役所が設置した男女別歯磨き用洗面台での昼食後の歯磨き風景が日常化しつつある。学校歯科保健委員会の活動も活発で、むし歯予防に向けた食習慣改善の一環として、昼食の糖分を減らす試みが行なわれている。一方、家庭では自宅での歯磨きを記録する「歯磨きシート」を活用するなど、保護者の理解と協力も広まっている。
学校歯科検診の定着や予防の習慣化に加え、チンゲルテイ地区と両校が注目するのが日本におけるフッ化物洗口の取り組みだ。歯の健康に問題がある児童・生徒が小学校では9割、中学・高校では8割を占める現状に対して、「特に新たなむし歯をつくらないために学校で行う週一回のフッ化物洗口が有効」と本プロジェクトに関わる日本人専門家が提言したためだ。同地区からの視察要請に基づき、当機構はフッ化物洗口の理論と実践の研修を目的に、保健センターの歯科医やモデル校の学校長、学校保健行政官、国立医科学大学歯学部教授等8名の研修員を2023年6月に日本に招聘した。