第18回健康都市連合日本支部大会加盟都市活動報告➋

 泉佐野市で開催された大会が健康都市活動の再始動を象徴する場として盛り上がりを見せる中、愛知県大府市、神奈川県大和市、愛知県尾張旭市が活動報告を行った。いずれも第9回健康都市連合国際大会(2021年・香港)でアワードを受賞した自治体だ。

時代の変化を見据えた健康まちづくり

神奈川県大和市 大木哲市長

 多くの自治体で人口が減少する中、本市の人口は微増を続けており、総務省の調査によれば2021年中の人口増加数が全国で8番目に多くなった。課題は単身高齢者の大幅な増加で、社会から孤立し孤独を感じている市民に対し、行政がどのようにアプローチしていくのかが問われている。こうした時代の変化を見据え、これからの健康都市の実現に向けて何が必要なのか、主な事業について紹介する。

 

2007年に私が市長に就任して以来、健康を基軸とした市政運営を一貫して進めている。なぜ健康なのか。市民の切なる願いだからだ。初詣では心の中で「この一年間、家族全員が健康に過ごせますように」と祈願するが、その気持ちに嘘はないはずだ。そうした市民の思いを実現するため、総合計画の将来都市像として「健康都市 やまと」を位置付け、「人」「まち」「社会」の3つの健康を良好な状態にすることを健康都市の基本にしている。

 

同時に、新型コロナウイルスへの対策等「今ここにある危機」への対策と、人口構造の変化に対応する20年、30年後を見据えたまちづくりも大変重要だ。そこで本市はまず、「人」の健康において次の条例を制定した。

 

「大和市こもりびと支援条例」(2022年9月制定)

大和市では、ひきこもりの状態にある人の呼称をより温かみのある「こもりびと」とした。こもりびとに対する理解を深め、本人や家族の気持ちに寄り添い、関係機関と協力しながら、将来にわたり必要な支援を行うことを目的に条例を制定。

 

「大和市おひとりさま支援条例」(2022年6月制定)

年齢を重ねたことにより他者や社会との関わりを必要とする一人暮らしの市民を「おひとりさま」と称し、おひとりさまが孤立することなく、生涯にわたって生き生きと過ごすことができるよう、市民及び事業者等と協力し、様々な面から支援するため条例を制定。

 

「大和市認知症1万人時代条例」(2021年9月制定)

大和市における認知症の人の数は、2021年4月時点で1万人を超えたと推計される。これは、あらゆる人が認知症の人に関わる時代となったことを示している。認知症の人やその家族等にとって希望と尊厳のある豊かなまちであり続けるため、条例を制定。

 

「大和市終活支援条例」(2021年6月制定)

人は様々な出会いや経験を重ねながら人生を歩むが、必ず終わりの時が到来する。生きている今を大切にしながら、死と向き合い、その準備を整えていく活動「終活」に取り組むことは簡単ではない。終活は、自らの死と死後への不安を軽減するための取り組みであり、取り組む方々を支援するために、条例を制定。

 

条例化の理由は、事業を継続するためだ。条例が無いと一過性で終わる可能性があるが、困っている人は長期の支援を必要としている。

 

一方、「まち」の健康では、次の整備を行っている。

 

「自転車通行空間の整備」

自転車レーンやナビマークによる通行帯を整備可能な市道のすべてに設置したほか、歩行者と自転車が完全に分離した自転車通行空間の整備等を推進。

 

「公園のリニューアル」

シニア世代のコミュニケーションや外出のきっかけ、子育て世代の憩いの場や子供の遊び場として多世代の居場所になるよう、2022年度末頃に、大和駅近辺に芝生広場を中心に休憩所や遊具などを備えた公園をリニューアルオープン。

 

さらに「社会」の健康では、「健康都市大学」を設立した。市民同士で学び合い、交流する場を創出することで、学びを通した市民の新たな居場所づくりを目指しており、次の学部と学園祭で構成している。

 

「市民でつくる健康学部」

市民が受講生として学ぶだけでなく、自身が持つスキルや知識、経験を基に講師となるもの。

 

「人の健康学部」・「まちと社会の健康学部」

市や外郭団体などが市民向けに実施している講座から成るもの。

 

「健康都市大学 月イチ学園祭」

外出意欲の促進や多様な交流の創出などを目的に踊りなどの発表会や健康フリー麻雀教室、絵手紙体験コーナー、シニア向けスマホ講習会などを毎月開催。



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