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あばしり麦フェスタ2019

網走産の麦と魚介類の消費拡大と地産地消を図るイベントが開催された。試食や料理教室、講演はどれも盛況で、市民の食と健康への意識の高さがうかがえた。

日時:2019年2月24日(日)

会場:オホーツク・文化交流センター(エコセンター2000)

主催:網走市

来場者数:700人

農業と漁業の共同イベント

会場入り口
会場入り口

会場入り口には、麦と魚介類の味覚を求める市民が長蛇の列を作った。「地産地消カフェ」でのお目当ては、オホーツク産のもち麦を使った「モヨロむすび」や「もち麦おはぎ」、「もち麦スープ」の試食だ。「モヨロむすび」は1300年前に網走川河口で生活していたモヨロ人が大麦を食べていた史実に因んで命名されたもの。米ともち麦の割合は3対1で、網走湖の大シジミをたっぷり使っている。「冷めても美味しい」、「外国産と比べると全然違う」と大好評で、順次用意したおよそ400個が次から次へと手渡しされていった。

モヨロむすび
モヨロむすび
せり売り
せり売り

「”海湖(シー)“フードフェア」では、水産加工品の試食や販売ブースが並んだ。流氷明けの魚介類が特に美味しいのは、オホーツク海北部から流れてくる流氷のおかげという。せり売りの実演コーナーでは、「毛ガニの甲羅盛り」や”幻のカニ“として知られる「イバラガニ」、「ホタテ玉冷(冷凍貝柱)」、「釣きんきの一夜干し」等、市価3千~7千円の商品が出品された。すべて100円からのスタートで、元気な声が飛び交う中、およそ半額でせり落とされていった。

もち麦とシーフードのレシピ

料理教室
料理教室

 料理教室には、網走市食生活改善協議会が協力した。テーマは「オホーツクのもち麦と海の幸」で、レシピはもち麦を用いた「くじら肉のカレースープ」と「カニとグラノーラのサラダ」だ。同協議会長の吉阪一子さんによると、定員25名のところに42名の申込があったという。「食育活動をする中で、健康志向の高い市民を中心に、もち麦への関心が高まっていると感じています。」スープでは、クジラ肉独特の匂いを和らげるためにカレーを使い、サラダではパリパリ感を出すためにグラノーラを加える等工夫した。「もち麦は、もちっとした食感でどのような食材とも相性がいいですね」と参加者。

くじら肉のカレースープ、カニとグラノーラのサラダ
くじら肉のカレースープ、カニとグラノーラのサラダ
網走市食生活改善協議会の皆さん
網走市食生活改善協議会の皆さん

もち麦の機能性

林さん
林さん

 講演会では、「今話題!もち麦の魅力と美味しい食べ方」のタイトルで株式会社はくばく購買部の林恵子さんが登壇。エビデンスに基づくもち麦の機能性や市場の動向、網走市での産・学・官・民での推進体制、もち麦を使ったおすすめのレシピについて講演した。もち麦の特長は水溶性食物繊維を豊富に含むことで、その量は白米の約25倍、玄米の約4倍という。血糖値の急上昇を防ぐ、脂肪の吸収を抑える、腸内環境を整え排便を促す等、健康の維持・向上にかかわる様々な効能が認められている。一方で食物繊維を摂取するコストは1グラムあたり3.1円と低く、この比率は生しいたけの約14分の1、ほうれん草の約9分の1に過ぎない。講演後、林さんが「家族も含めてもち麦を食べたいですか?」と質問すると、聴講者全員の手が一斉に上がった。

セミナー会場
セミナー会場

オホーツク産もち麦への期待

 網走市農林水産部農林課長の梅津義則さんは「大麦を網走市の特産として広めていくため、まずは食育を通して市民への普及に力を入れている」と語る。今回のイベントはその一環で、毎年6月に行う食育の日のイベントや10月の健康まつりでも認知度向上のためにもち麦をPRしている。結果は徐々に表れており、今年2月に山下春幸シェフを招いて開催した講演会「もち麦生活を楽しもう!」と料理教室(オホーツク機能性大麦推進協議会主催、網走市後援)は大盛況だった。

今井ファームの今井さん
今井ファームの今井さん

ただし、もち麦の栽培はまだ試験段階で収穫は数トン程度だ。「今は種を増やしている段階」と語るのは、もち麦の栽培を農家に働きかけている株式会社はくばく購買部長の新井泉さんだ。同社は雑穀や大麦等を製造販売しており、もち麦では国内で約9割のシェアを持つ。新井さんによると、ここ3年間でもち麦の需要が10倍に増えたという。大手コンビニではもち麦入りのおにぎりが人気商品だ。「一過性のブームではなく、食材として根付いたと見ています。」課題は国産品で、需要の高さに供給が追い付いていない。外国からの輸入に頼らざるを得ないのが現状だ。今回、今井ファームの今井貴祐さんがブース販売したところ、用意した100袋が2時間で完売してしまった。「皆さんが継続してオホーツク産もち麦を買いたいと言っています」と今井さん。新たな栽培地として、網走市は有力な候補地だ。需要と供給、生産者と販売者、そして何よりも生活者の健康という「WIN|WIN|WIN」のマッチングが期待されている。

はくばくの新井さん(向かって左)
はくばくの新井さん(向かって左)

オホーツク海の流氷
オホーツク海の流氷


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