県内の従業員・家族、そして広く県民の健康づくりに、健康貢献企業の知見・ノウハウ・経験を活用!
健康都市活動支援機構レポート No.08
「健やか力」の向上を推進する青森県
「健康で長生きな県」の実現をめざす青森県。2013年策定の「健康あおもり21(第2次)」では、10年後のめざす姿を、「全国との健康格差が縮小され、子どもから大人まで、全ての県民が希望と生きがいを持ち、健康で幸せに暮らす社会」と定めています。
基本方向としては、
①県民の健康教養(ヘルスリテラシー)の向上
②ライフステージに応じた生活習慣等の改善
③生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底
④県民の健康を支え、守るための社会環境の整備
以上4点を掲げています。
平均寿命が全国平均と比べ低位にある要因が、脳血管疾患、心疾患、糖尿病、悪性新生物等の生活習慣病にあることから、「肥満予防対策」を重点課題の第一に挙げるなどし、県はさまざま取り組みに着手。県民一人ひとりが、健康に関する知識を高め、実践できる力、すなわち「健やか力(すこやかりょく)」の向上を進めてきました。
進む、企業との「連携協定」
2014年スタートの「青森県健やか力向上企業等連携」も、その大きな柱の1つです。これは、県内に事業所を持つ企業・団体等が、県と連携・協働して、健康づくりやがん対策の推進に主体的に取り組むことを協定するものです。
企業等が具体的に行う推進内容は、①自社従業員・家族への取り組み ②県の取り組みへの参加・協力 ③県民を対象とした取り組み――の3点となります。
これまですでに37の企業等が、この協定を県と締結しています。
そして1月18日、新たな連携協定書の交付式が青森県庁内で執り行われました。県と花王株式会社の締結です。
知見・ノウハウを、広く県民の健康づくりへ活かす
今回の連携には大きな特色がみられます。花王は、自社の従業員や家族の健康づくりへの取り組みに加えて、広く県民の健康づくりに自社のノウハウや研究知見を活用して取り組むことが予定されているからです。
同社はこれまで「健康」分野の社会的課題解決に貢献すべく努めてきましたが、今回は以下のノウハウ・力を、広く青森県民の健康づくりに活かすことが期待されます。
① 自社の「健康経営」の経験とノウハウ
花王は自社従業員・家族の健康づくりに積極的に取り組み、2年連続で「健康経営銘柄」に選ばれています(経済産業省、東京証券取引所が選定)。この経験とノウハウを共有し、広く青森県民・各事業所の健康づくりに役立てることができます。
② 長年培ってきた研究知見
同社は生活者の健康づくりにおける製品開発過程で、さまざまな研究成果を蓄積してきました。弘前大学との産学連携もそのひとつです。
文部科学省が支援する研究開発プログラムCOI(センター・オブ・イノベーション)が2013年に全国18拠点で始まりましたが、中でも注目を浴びるのが弘前大学を中核とする弘前COIです。同大学では、青森県の短命県返上と元気な高齢社会実現に向けて、産官学連携の研究が進められてきました。ビッグデータを活用した健康増進プロジェクトを手がける弘前COIには、花王も「内臓脂肪に着目した健康支援サービス」をテーマに2015年から参加。
さらに、2016年12月には、弘前大学と共同研究講座「アクティブライフプロモーション学研究講座」を開講し、内臓脂肪や運動と、各種疾患の関係等を共同研究中です。こうした成果を県民の健康づくりに活かすことができます。
③ 内臓脂肪測定や健康づくりセミナーの開催実績
生活習慣病の原因となる内臓脂肪に着目し、これまでも県内及び全国各地でセミナーや内臓脂肪測定等の参加型イベントに取り組んでおり、それらのノウハウを今後さらに活用できます。
④ 消費者に近い目線に基づく企画力
つねに生活者を顧客としたマーケティングを展開しているため、生活者が積極的に関心を持ち、参加しやすい健康づくりの提案が可能です。
⑤ 広い顧客ネットワーク
生活者に身近なスーパー・薬局等、同社がつながりを持つ広いネットワークの場で、そのオーナーの賛同を得て、青森県による健康啓発をサポートできます(これまでも県内140近い店舗で県の健康啓発を実施)。
このように今回の連携によって、同社の知見・技術・サービス・アイディアなどのリソースを一層効果的に活かすことが期待されているのです。
今回の連携について、青森県健康福祉部 がん・生活習慣病対策課 嶋谷嘉英 課長は、次のように期待を寄せています。「COIを通じて青森県と花王様との接点が生まれ、以来、内臓脂肪測定等で協力をいただいてきました。行政単独でできることには限界がありますが、さまざまなチャネルをもつ民間企業の協力を得ることで広がりが生まれます。県にとっては、企業の従業員とその家族の健康づくりの推進は重要課題です。既に率先して健康経営に取り組んでいる花王様の経験やノウハウを参考にさせていただけるよう、期待しています」。
自治体と民間の連携が大きな推進力に!
今回の連携について、青森県健康福祉部 がん・生活習慣病対策課 嶋谷嘉英 課長は、次のように期待を寄せています。「COIを通じて青森県と花王様との接点が生まれ、以来、内臓脂肪測定等で協力をいただいてきました。行政単独でできることには限界がありますが、さまざまなチャネルをもつ民間企業の協力を得ることで広がりが生まれます。県にとっては、企業の従業員とその家族の健康づくりの推進は重要課題です。既に率先して健康経営に取り組んでいる花王様の経験やノウハウを参考にさせていただけるよう、期待しています」。
一方の花王は、次のように抱負を語っています(花王グループカスタマーマーケティング株式会社 間宮秀樹 東北支社長)。「弊社は『健康』分野での社会的課題の解決に取り組んできました。健康長寿を阻む要因のひとつである肥満、とくに内臓脂肪肥満に着目し、内臓脂肪測定機や体脂肪の減少に役立つ特定保健用食品等を開発してきました。その研究知見を活用して、内臓脂肪に関する啓発に繋がる測定イベントやセミナーなどを行いたいと思います。また、3年連続(2015年~2017年)で『健康経営銘柄』に選ばれるなど、従業員と家族の健康づくりにも積極的に取り組んできました。今回の締結を機に、弊社の知見とノウハウを活かして、広く青森県民各位の健康づくりに貢献させていただきたいと思います」。
官(青森県)と産(花王)、そして学(弘前大学)の連携が、「健康で長生きな青森県」という健康都市の推進に大きな力を発揮することになることでしょう。