第11回日本支部総会・大会

第11回健康都市連合日本支部総会・大会が7月28日、29日に愛媛県八幡浜市の文化会館 「ゆめみかん」で開催されました。「やわたはまへようこそ。つながりましょう八幡浜で」のテーマのもと、北海道から九州まで延べ930名が参加しました。

八幡浜市の人口はおよそ37,000人。愛媛県西部、佐田半島の付け根に位置し、古くから海上交易で栄えた港町です。現在も九州の間に大型フェリーが往来するなどハブ港の役割を果たしています。愛媛県といえばみかんですが、特に八幡浜は段々畑に適した地形と溢れる日差しに恵まれ、「日の丸」を代表に数々のブランドみかんを産出しています。また、当市は高度衛生管理型の魚市場を持ち、鯵や鯖、太刀魚、烏賊など四国有数の水揚げを誇ります。こうした新鮮な魚や野菜を使い、全国のグルメファンを唸らせているのが「八幡浜ちゃんぽん」です。

今回の大会は、情報収集や交流と同時に、山海の幸を堪能する地域性溢れた健康都市のイベントとなりました。

段々畑と港
段々畑と港
水揚された魚類
水揚された魚類

日本支部大会総会

流山市井崎市長(中央)と北名古屋市長瀬市長(向かって左隣)
流山市井崎市長(中央)と北名古屋市長瀬市長(向かって左隣)
八幡浜市大城市長
八幡浜市大城市長

議事では、平成26年度事業報告や27年度事業計画などの議案が可決され、新役員として愛知県北名古屋市の長瀬市長が新しい日本支部長に、千葉県柏市の秋山市長並びに北海道網走市の水谷市長が副支部長に選出されました。

また、加盟促進部会長には茨城県潮来市の原市長が、広報部会長には佐賀県嬉野市の谷口市長が、そして監事には宮城県涌谷町の安部町長がそれぞれ選任されました。

 

議事に続き、小川尚氏(東京医科歯科大学客員教授/前WHO西太平洋地域事務局アドバイザー)が「持続可能な開発目標(SDG:Sustainable Development Goals)」について講演しました。SDGとは国連を中心に設定された開発目標であり、「経済成長」、「社会開発」、「環境保全」の3つの柱から成る。2000年のミレニアム開発目標を引き継ぐもので、2015年9月の国連総会で採択される予定です。17の目標と169のターゲットなどで構成され、目標には「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」、「餓鬼を終わらせ、食料安全保障および栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する」、「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」などを定めています。小川氏はこれらWHOの開発目標が健康都市憲章のビジョンと一致することを指摘。健康都市連合日本支部の健康都市づくりへの役割に期待を寄せました。

持続可能な開発目標について講演する小川氏
持続可能な開発目標について講演する小川氏

続いて健康都市連合の中村事務局長(東京医科歯科大学准教授)が連合について、2015年7月現在の正会員が169都市・団体、準会員が44都市・団体まで増えたことや、昨年10月に香港で開催された第6回健康都市連合国際大会について報告しました。また、2016年8月には第7回国際大会を韓国の原州(ウォンジュ)で開催することをアナウンスしました。中村事務局長はさらに、東京医科歯科大学WHO健康都市研究協力センターが文部科学省の科学研究補助金で進めている健康都市指標のデータベース構築について、途中経過を発表しました。

 

一方、NGO健康都市活動支援機構は足立企画委員長が平成26年度の事業活動を報告。27年度計画については、健康都市ポータルサイトや国際交流基金アジアセンターの助成事業として採択された「食文化を視点とする日本とアジア諸国による健康交流事業」への協力を求めました。

健康都市連合中村事務局長
健康都市連合中村事務局長
足立企画委員長
足立企画委員長

日本支部大会

午後からは一般市民が参加する大会が開催され、会場はお揃いのTシャツを着た各地の健康サポーターの熱気で溢れかえりました。

保内町和田町地区唐獅子保存会の子どもたちによる演舞と太鼓で幕を開け、開会式では18自治体の首長や来賓がエールの中を登壇しました。新支部長の長瀬北名古屋市長の挨拶の後にマイクを握ったのは開催地八幡浜市の大城市長です。参加者への御礼を述べた後、八幡浜市が歌詞に登場する「港町ブルース」を披露して熱い喝采を浴びました。

大会来場者を出迎える地元健康リーダーたち
大会来場者を出迎える地元健康リーダーたち
地元ゆるキャラもお出迎え
地元ゆるキャラもお出迎え
保内町和田町地区唐獅子保存会の演舞
保内町和田町地区唐獅子保存会の演舞
長瀬新支部長
長瀬新支部長
大城市長
大城市長
日本支部顧問として挨拶する健康都市活動支援機構の千葉理事長
日本支部顧問として挨拶する健康都市活動支援機構の千葉理事長

基調講演には、WHO西太平洋地域事務局生活習慣病対策・健康増進・コーディネーターのハイリム・シン博士が登壇。「生活習慣病の予防と管理」をテーマに、その危険因子や世界的、地域的な行動計画を述べ、リスク減少における健康都市の役割を述べました。特に健康都市では、「健康をあらゆる政策に」を旗印に、喫煙や不健康な食事、運動不足、過度な飲酒に対して、行政の多部門連携やさまざまな活動の場(セッティング:職場、学校、自治体など)で取り組む必要性を説きました。

ハイリム・シン博士
ハイリム・シン博士

続く記念講演には、テレビや雑誌、書籍出版で活躍する人気家庭料理研究家の奥薗壽子氏が登場。「料理は楽しくシンプルに 家庭の笑顔は食卓から」をテーマに、男性でも簡単に調理でき、かつ美味しく栄養バランスがよいレシピをいくつも披露しました。

奥薗壽子氏
奥薗壽子氏

活動報告では、八幡浜市が「糖尿病対策の取り組み」について発表しました。当市は、平成24年に健康都市連合日本支部に加盟し、以来、健康第一のまちづくりを進めています。八幡浜市糖尿病サポーター養成講座や食生活改善推進員らを中心とする糖尿病予防、地域ぐるみで「糖尿病を悪化させない」、「人工透析に移行させない」まちづくりで実績を重ね全国に注目を集めていることをアピールしました。

会場風景
会場風景

一方の会場ロビーは健康づくりブースとして設定されました。身体チェックや血糖検査、脳年齢測定をはじめ、癌クイズコーナー、低糖まんじゅう試食コーナー、食生活改善推進協会や歯科チェックのパネル展示などが行われ、健康に意識が高い来場者で賑わいました。

身体チェックコーナー
身体チェックコーナー
血糖測定コーナー
血糖測定コーナー
低糖まんじゅう(あわしま堂)試食コーナー
低糖まんじゅう(あわしま堂)試食コーナー

大会二日目は、ダンスフロム保内のオープニングで幕を開け、日本支部長と開催市長の挨拶に続き、地元「はつらつ体操すすめ隊」が「はつらつ介護予防体操」を披露しました。観客も一緒に体を動かし、心身ともにリラックスして活動報告を迎えました。

活動報告を行ったのは、愛媛県西予市、上島町、愛知県田原市、千葉県流山市です。それぞれが栄養や食育、身体活動、こころのケア、タバコやアルコール対策、緑地化といった地域特性を活かした健康都市活動を発表し成果をアピールしました。

大会2日目のオープニング
大会2日目のオープニング
地元「はつらつ体操すすめ隊」による「はつらつ介護予防体操」
地元「はつらつ体操すすめ隊」による「はつらつ介護予防体操」
西予市の発表
西予市の発表
上島町の発表
上島町の発表
田原市の発表
田原市の発表

エンディングには、次期大会開催地である流山市の職員や市民が登壇。来年の再会を期して大会の幕を閉じました。

次会大会開催地をアピールする流山市
次会大会開催地をアピールする流山市

行政視察では、平成24年に完成した新魚市場(高度衛生管理型荷捌所)と平成25年4月にオープンした「八幡浜みなっと」を訪問しました。新魚市場は「雑菌を持ち込まない、つけない、増やさない」と原則にオーバースライダー式シャッターを設置して鳥や小動物の侵入を防止したり、水揚げした魚介類の床直置きせずパレットを用いたり、天井の照明をLEDにして埃がたまらないようする等、さまざまな手段を用いて衛生管理を徹底しています。

みなっと
みなっと
魚市場の外観
魚市場の外観
魚市場の内部
魚市場の内部

「八幡浜みなっと」は国土交通省が指定する道の駅、みなとオアシスとして登録され、魚市場で水揚げされた魚を直売する「どーや市場」、物販・飲食施設の「アゴラマルシェ」、観光案内・ホールの「みなと交流館」から成ります。特に「どーや市場」では、当日水揚げされた新鮮かつ安心安全な魚介類が観光客や地域住民に人気です。店主や従業員の多くが社団法人日本食育者協会推奨の「シーフードマイスター」の資格を有しており、その場で魚を捌いてくれるのはもちろん、素材を活かした料理法のアドバイスなどきめ細かいサービスを提供しています。

どーや市場のシーフードマイスター(向かって右端)
どーや市場のシーフードマイスター(向かって右端)
みなっとオアシス
みなっとオアシス


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