ッ化物洗口の日本研修を終えた3カ月後、2023年9月に日本人専門家6名が現地を訪問した。目的は3カ年計画の折り返しにおける現状を視察し、課題解決に向けた意見交換を行うことだ。訪問中には2回目となる学校歯科検診も実施され、その様子を専門家が注意深く観察して指導助言した。
健康都市活動支援機構はJICA(国際協力機構)の「草の根技術協力事業」のもと、ウランバートル市チンゲルテイ地区のモデル校2校を対象に本プロジェクトを実施している。両校では「正しい歯の磨き方」を励行し習慣化させるための活動を学校及び家庭で推進しており、学校では区役所が設置した男女別歯磨き用洗面台での昼食後の歯磨き風景が日常化しつつある。学校歯科保健委員会の活動も活発で、むし歯予防に向けた食習慣改善の一環として、昼食の糖分を減らす試みが行なわれている。一方、家庭では自宅での歯磨きを記録する「歯磨きシート」を活用するなど、保護者の理解と協力も広まっている。
学校歯科検診の定着や予防の習慣化に加え、チンゲルテイ地区と両校が注目するのが日本におけるフッ化物洗口の取り組みだ。歯の健康に問題がある児童・生徒が小学校では9割、中学・高校では8割を占める現状に対して、「特に新たなむし歯をつくらないために学校で行う週一回のフッ化物洗口が有効」と本プロジェクトに関わる日本人専門家が提言したためだ。同地区からの視察要請に基づき、当機構はフッ化物洗口の理論と実践の研修を目的に、保健センターの歯科医やモデル校の学校長、学校保健行政官、国立医科学大学歯学部教授等8名の研修員を2023年6月に日本に招聘した。
健康都市活動支援機構はJICA(国際協力機構)の「草の根技術協力事業」のもと、ウランバートル市チンゲルテイ地区のモデル校2校を対象に本プロジェクトを実施している。本稿では、現地アドバイザーの国立医科科学大学歯学部オユンツェツェグ・バザル教授より近況をレポートいただいた。
本事業は、2019年8月にウランバートル市チンゲルティ区長の要請に基づき、市川市歯科医師会の協力で当機構の千葉光行理事長他4名から成る調査団を派遣したことがきっかけだ。調査結果を踏まえてJICA(国際協力機構)の「草の根技術協力事業」に応募し、2020年11月に採択された。事業の目標は学校歯科検診の仕組みづくりだ。
2022年6月に実施した日本研修では、地区保健センターの歯科医やモデル校2校(第37番学校と第50番学校)(※1)の学校長、学校保健行政官、大学教授等11名の研修員を招聘。セミナーや小中学校での歯科検診の視察、供与した検診機材(口腔検診ミラーや煮沸消毒器、LED照明灯等)の使用方法のガイダンスを行った。(本誌12号参照)本稿では、その後のチンゲルティ地区の対応と、同年9月に実施した現地訪問指導(※2)についてレポートする。
本事業は、2019年8月にウランバートル市チンゲルテイ区長の要請に基づき、市川市歯科医師会の協力で当機構の千葉光行理事長他4名から成る調査団を派遣したことがきっかけだ。調査結果を踏まえてJICA(国際協力機構)の「草の根技術協力事業」に応募し、2020年11月に採択された。